帰郷

故郷に帰る

あなたはぼうっとした頭を抱えて 電車を降りてバスに乗る

ふと あなたは何年も何年も前に トリップしたような錯覚に陥る

バスが動き出す

雨粒がまだら模様の窓越しでも やはり街の様子は少しずつ変わっているのが分かる

あなたはそんな街を見てもやはり 昨日も一昨日も乗ったようなバスに揺られている

故郷に帰る
母が迎えてくれるはずの道を一人

雨粒越しに見える街が どれだけ見知らぬものに変わっても 最終バスに連れてゆかれるあなたは ここが生まれた時からずっといる街だと はっきりと分かる



へその緒をたどって胎盤まで


あなたは 割れんばかりの頭を

いつものように沈めながら

ここではない どこか遠くへ 想いを馳せる


あなたは どうにかして息がしたくなる

あなたは 自分がまだ子宮の中にいることが分かる



ねえ お母さん 私はもう ここを出たいと思っています