この街

このところいつだって今にも泣き出しそうにして
ほそい煙を掴むごとくに
微かなひとのぬくもりを命綱にしている
そんな友が
この街で一晩を過ごしたらしい
見知らぬ誰かの懐で
すこしは涙を忘れたか
昔のように笑ったか
あすの晩も来るそうだ

そうだこの街はひとりぼっちが集まって
おそろしいおそろしい夜の海を
力を合わせてみんなで越す
わたしは海原とおくとおく安らかに眠りゆく戦士たちの
ひとりひとりの名前をよんで
ささやかなピアノの音色を選んでお線香にして
じっとじっと朝陽を待とう